ZEHって何?125万円の補助金の要件って?

家を建てようと考えている方が多く目にする「ZEH」という文字。これは何を指しているのでしょうか。今後建てる家がZEHか、もしくはそれに近い家である必要はどこにあるのでしょうか。ZEHの意味と、日本において今後主流になる理由を解説します。

 

1.そもそも「ZEH」とは?

ZEHとは、「ゼッチ」と読みます。「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)」の略で、エネルギー消費が年間で「実質ゼロの家」を指します。断熱・気密性能によって「省エネ」を実現し、太陽光発電システムや家庭用燃料電池で「創エネ」することにより、その家で使用するエネルギーをゼロに近づけることを目標とするものです。

国は、これまで曖昧だったZEHの定義を明確化し、家の性能をどう評価するかを「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ(案)」の形で2015年12月に発表しました。このとりまとめ案では、ZEHがどんな家を示すのかを明確に定めたうえで、「2020年には標準的な新築住宅をZEHとする」ことを目標としました。

人口密度の多いエリアで家を建てる場合、太陽光発電パネルを設置することが難しいことがあります。光が反射することでご近所トラブルになる可能性がある上、土地や家の状況によっては小さな太陽光パネルしか設置できない、周囲の家に阻まれて太陽光を取り入れられないケースもあるからです。こういった都会の狭小地では国の定めるZEH条件を満たすことは難しいものです。これに配慮し、「Nearly ZEH」(二アリーゼッチ・高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備えて再生可能エネルギーにより年間の消費エネルギーを“ゼロに近づけた家“)といった概念も盛り込まれています。

 

2.今後の家が「ZEH」であることの必要性

2012年4月に経済産業省が取りまとめた「低炭素社会に向けた住まいと住まい方の推進」の中では、すでにZEHのイメージが示されていました。「京都議定書」という言葉とともに一気に広まりを見せた省エネ・エコの考え方と、その後日本を襲った東日本大震災によって「電力に頼らない暮らし」を求める消費者意識の高まりともマッチし、太陽光発電パネルなどが一般の住宅にも定着してきたことも記憶に新しいところです。

“購入する”電力エネルギーに頼らない家、エネルギーを自ら作る家は、環境面で50年後・100年後の子孫に大きな影響を与えるものとなります。例えば1973年度に一般家庭で消費されたエネルギーを100としたとき、2011年度は208.9%となりました。これは、利便性や快適を求めるが故の伸び率です。今手にしている快適さをも満たしながら環境を考えるためには、個々の家庭からエネルギーを考えなければなりません。つまり、「今後建てられる家が変化しなければならない」ことは明らかなのです。

放置された空き家の問題もあちらこちらで噴出している近年、せっかくの家づくりのチャンスを得たのなら次の世代にも安心して渡せる家を建てなければならないことは明白です。家を建てるためには最長で35年のローンを組むのですから、自分の代だけでなく子供に財産として残したいものではないでしょうか。住みやすく価値の高い家―エネルギーの問題にも注目した「ランニングコスト」を考えた家でなければならないこともおわかりいただけるでしょう。

 

3.「ZEH」の条件を満たす家とは?

ZEHとは、「省エネ性能を高め」、「創エネでその家で使う電力をまかなう」家です。ZEHの“入り口”ともいえる省エネの側面は、断熱性能がその主な着眼点です。断熱性を上げ、冷房・暖房で使用する電力を可能な限り抑えることが重要なのです。

家の内外をつなぐ窓などの開口部から逃げる熱は約50%とされています。壁だけでなく、この外に開く部分から逃げる熱をいかに抑えるかがポイントとなるのです。断熱性能は、どれだけ熱を逃がさないかを示す「UA値」を用いて表しますが、その数値が低いほど断熱性能が優れていることを示します。

続いて注目するのが照明を含む設備関係です。省エネ性能が高いものを吟味し、導入しなければなりません。LED照明がその代表格として挙げられるでしょう。次は、創エネ設備とその能力です。太陽光発電パネルといっても、発電効率には多少の幅があります。これを蓄電するための蓄電システムも多様性を増してきました。

家の性能、設備の性能、これらを総合的に評価し、ZEHか否かを判断するのです。ハウスメーカーは一定の基準の中で家作りをしますが、一から作る注文住宅の場合はこの判断を一棟一棟第三者機関に判断してもらうことになります。

 

4.【平成28年度(2016年度)】ZEHの補助金について

ZEHにも補助金制度があります。ZEHと認められる家を「申請者が常時居住する住宅」とし、「専用住宅であること」などが条件です。平成28年度(2016年度)は一戸あたり125万円の定額、さらに寒冷地特別外皮強化仕様(1・2地域において外皮平均熱貫流率=UA値が0.25以下)の場合は一戸あたり150万円の定額です。

蓄電システムも補助金対象で、蓄電容量が1kWh当たり5万円、補助額の上限は補助対象経費の3分の1もしくは50万円のうちいずれか低い金額です。

Nearly ZEHの場合はどうでしょうか。設計時に想定される消費エネルギー量と再生エネルギーを併せ見て、75%以上の削減が実現できるNearly ZEHと認められれば、125万円定額での補助金を受けることができます。

「ZEHビルダー登録」という制度もあります。ハウスメーカーや工務店、設計事務所などが自社受注住宅を2020年までに50%以上とする目標を掲げることで、「ZEHビルダー」として登録されます。この目標を自社WEBサイトや会社概要で公表し、その実現に努める義務を負います。

ZEHビルダーは施主に代わって補助金申請の手続代行をすることが可能ですので、家を建てようと考えている方は、その会社がZEHビルダーであることを確認できれば、安心して任せられることとなります。

 

5.健康問題への対策としても

ZEHの基準の大前提は、断熱性能による省エネです。エネルギーや環境の問題のみならず、健康の面から考えても、高断熱の家は重要なものとなってきます。高齢化の進む日本において、冬場のヒートショックは深刻な問題です。温かい部屋から寒い浴室やトイレへ移動することで、急激な血圧変化を起こし倒れてしまうことで知られているヒートショックですが、年間でなんと1万7,000人もの方が亡くなっているとされています。

このような家の中での健康問題・死亡事故を防ぎ、家族の健康寿命を保つためにも、「家全体が温かい」ことは今後さらに重要なこととなるでしょう。ヒートショックを防ぐため、浴室やトイレを個別に暖房することは、省エネどころか増エネとなってしまい、月々の光熱費にも跳ね返ってきます。新たに家を建てることが決まったら、家全体が温かく、暖房効率の良い家を検討するのが“正しい家づくり”です。

 

6.日本がエネルギーの原料を海外に依存する率、なんと約95%

日本で使用されるエネルギーの原料(石炭・天然ガス・石油)は、生産される電力のうち約95%を海外からの輸入に依存しています。いつ、どんなタイミングで原料が高騰するかはわかりません。エネルギーに関しては、とても脆弱と言わざるを得ないのです。

自分たちの家で使う電力を自分の家が作ってくれるということは、外的要因に左右されない“自立した家”ともいえます。ZEHは、毎月の電気代に頭を悩ませなくてもよいだけでなく、設備にさえトラブルが発生していなければ大規模災害時であってもエネルギー調達ができるのです。地震大国とも呼ばれる日本においては、このような設備・機能はより重要視されるべきものです。

国外からの供給を受けなければ成り立たない日本のエネルギー事情は、今後も私たち消費者の生活を大きく左右します。経済産業相の諮問機関である「総合資源エネルギー調査会」も、2030年までに再生可能エネルギーが電源構成の約22%にまで拡大されるのが望ましい、としました。

エコ志向が高まったことにより自宅に太陽光パネルを設置して売電する、ないしは自宅で電力を利用する家庭が増えました。また2016年春に始まった電力小売全面自由化によって、いまや自宅で消費する電力も選べるようにもなりました。「どこでできたエネルギーなのか、原料は何なのか」といったことにまで目を向け、消費者が会社を選べるようになったのです。エネルギーに関していえば、国レベルでなく、個々で考えるべき問題にシフトしたのです。

 

7.ZEHが「スタンダード」になるまでの課題

経済産業省 資源エネルギー庁省エネルギー対策課が2015年11月付けで発表した「ZEHロードマップ検討委員会とりまとめ(案)」を改めて見てみると、「ZEHの認知度向上に関する検討」の項で「将来的には、エコカーのように、ZEHを所有することが一つのステータスとなるよう、関連する国民運動との連携等も含む官民を挙げた広報戦略によりブランド化を促進することが望ましい」としています。

まだまだ途上ともいえるZEHは、認知の段階にあるといえるのです。この動きと同調するように、大手ハウスメーカーもさまざまなキャッチコピーでZEHをアピールしています。まさにブランド化するためのPR合戦です。

各社それぞれに特徴があるようですが、基本は「省エネ住宅」+「自宅で発電」です。細かな違いは、施主自らが調べ、納得した上で契約(購入)しなければなりません。どのような仕組みで省エネを実現し、創エネはどのような設備で行うのかという情報を、施主自らが情報を“取りに行く”姿勢が重要です。

 

【まとめ】あなたが家を建てるなら「ZEH」がお勧めの理由

家は、「一生に一度のお買い物」といわれる高額なものです。過去を振り返ると、これまでに建てられてきた木造住宅は、20年ほどでその資産価値を失うとされてきました。たとえ35年ローンを組んでいても、です。

長期にわたって価値を持ち続け、次の世代へ住み継がれる家を建てるのであれば、機能性に富み、健康の面・エネルギーコストの面でより有利な家をチョイスしなければなりません。あなたが家を建てるなら、ZEHをお勧めします。